fc2ブログ

2015年度、クソ映画オブザイヤー

 気づいたら年末。うっかり日付を忘れていて慌てて更新している。世相を反映してか、今年はさらなる不況の波が日本全国で猛威をふるった。賃金が上がらずますますモノが売れなくなっている。よかったのはガソリン代が安くなったことくらいか。こんな過疎ブログでは、映画の記事よりも『中年フリーター』や『中年ニート』といったキーワードで検索してくる人の方が多いという・・・。

 当初の予想通り、洋画はとんでもない当たり年だった。良作が多すぎて思い出しきれない。『イミテーションゲーム』『マッドマックス』『セッション』『インサイドヘッド』『アントマン』などなど。ただ、今年の洋画は、『スターウォーズ』にはじまり、スターウォーズで終わった感がある。来年の洋画はアメコミ映画の当たり年なのだという。来年もハリウッドやフランス映画にボリウッドなど、さまざまなジャンルで楽しめそうな感じはある。これは関係ないけど、来年は美術展もすごそう。

 ひるがえって、今年の邦画は例年以上にひどかった印象。『ジョーカーゲーム』『ストレイヤーズクロニクル』『ギャラクシー街道』『グラスホッパー』などなど、思い出しただけで腹が立つ。年々劣化しているのはいかがなものか。よかった映画ですぐに思い出せるのは『天空の蜂』くらい。

 けれど、邦画ニュースで度肝を抜かれたのは、『妖怪ウォッチ』がスターウォーズを初動の動員数で抜いたことだろう。おまけ商法により初動は爆速なのは読めていたが、さすがにスターウォーズを抜くとは思わなんだ・・・。まさかの下剋上。最終興行収入はスターウォーズの方が上だろうけど、この衝撃ははかりしれない。

 ということで、毎年のように個人的見地で選ぶ洋画1位は、この映画の話題ではじまりこの映画の話題で終わった感のある『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』。邦画ナンバー1も、単純な評価点で選んだって面白くないので、衝撃度ナンバー1の『映画 妖怪ウォッチ エンマ大王と5つの物語だニャン!』に送る。まさに、良くも悪くも、この2本が今の日本映画界を象徴している。

 最後のクソ映画オブザイヤーは、夏の映画の話題をかっさらった、と思っている、『進撃の巨人 前後編』。しょうもない前後編詐欺にゴミ脚本。この映画には今の邦画のダメな部分がすべてつまっている。ということで、今年のクソ映画オブザイヤーは、

『進撃の巨人 前後編』

です。

 それでは今年も残りわずか。来年はどんな名作、迷作に出会えるのか?楽しみを胸にひめて、それでは、みなさん良いお年を。
スポンサーサイト



映画『映画 妖怪ウォッチ エンマ大王と5つの物語だニャン!』を見ての感想

 2013年に彗星のごとく発売され、瞬く間に人気ゲームとなった妖怪ウォッチ。妖怪ウォッチはメディアミックス戦略により漫画やアニメ、映画、グッズなど、多角的に展開されるが、そのどれもが大ヒットという近年まれにみる大当たりコンテンツとなる。映画でも、昨年公開された『映画 妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!』は、特典に重要キャラクターのグッズをくばったこともあるが、邦画の初動の動員数歴代一位というとんでもない記録的ヒットとなった。大ヒットした昨年に続いての2作目。『映画 妖怪ウォッチ エンマ大王と5つの物語だニャン!』を見てきた。

 物語は5つの短編で構成される。主人公ケータが妖怪になってしまう話、ジバニャンの生前の飼い主だったエミちゃんの話、など、見に来るメインの客層であろうチビッ子らに配慮して個々の物語を短くして飽きさせない工夫なのだろう。話は全部読めるけど、感動したりアクションがあったり、なかなか楽しい。けれど、このせいで映画というスペシャル感がうすまった印象はある。だが、個々に区切られることで、ジバニャンやコマさんなんかの人気キャラクターに違和感なくまんべんなく活躍させることに成功している。

 それで最後の5話目。実はそれぞれの物語はつながっていてアクションシーンがふんだんで、チビッ子ら的にはこれが1番だろう。同伴で見に来た親世代は前半のお涙ちょうだい劇の方がよかったと思うかもしれない。それはいいとして、なんと週末動員数ではスターウォーズよりもこの妖怪ウォッチの方が動員数は上だったようだ。

 すっげいね。スターウォーズだって、とんでもない人入りしていて、最大箱もほとんどスターウォーズがかっさらっているのにこの結果。やっぱり日本はガラパゴスやね。ほんまやね。日本なのにガラパゴスとはどないやねんな。ドリカムばりのエセ関西弁を使ってみる。

 とはいえ、妖怪ウォッチ陣営は、初動は爆速でもこれを維持できるかがカギとなる。おまけにバイトやとって他作品のネガキャンをするのはよろしくない。純粋にお互いに盛り上がればいいじゃないか。

『映画 妖怪ウォッチ エンマ大王と5つの物語だニャン!』
総評★★★★☆

映画『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』を見ての感想

 今やだれもが知るSF映画の金字塔。『スター・ウォーズ』。そのスターウォーズシリーズを手掛けてきたジョージルーカス監督率いるルーカスフィルムが、ディズニー傘下に入ることとなり、新らしく三部作として続編を製作することが決まる。新三部作の最初の監督には、かつてはSFモノのライバルとされていた『スター・トレック』シリーズを手掛けるJJエイブラムス監督。その作品が『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』だ。これでエイブラムス監督は対極を行くSF作品を共に監督することとなった。そんな新生スターウォーズやいかに。

 暗黒面に落ちたシスや帝国軍を打ち破ったレジスタンス軍だったが、30年の月日が流れたにもかかわらず、いつの時代にも暗黒面に落ち大軍を率いる者たちが出てくる。帝国軍の残党で組織されたファーストオーダーがそれだ。ただ、かつての英雄ルークスカイウォーカーの居場所がわからない。ルークの行方をレジスタンスもファーストオーダーも追っていた。レジスタンス軍のポーはルークの居場所の手がかりをつかむ。だが、ファーストオーダー軍に追われてしまう。ポーはボール型ドロイドのBB-8にルークの居場所の手がかりが入ったメモリーをたくすのだが・・・。

 全世界同時公開との触れ込みで、試写会や大病を患った人の特例などをのぞき日本でも同時公開となった。前売りからとんでもないことになってる。映画館内はダースベーダーなどの人気キャラにふんしたコスプレなどをしている人もいて、たかなりを見せている。ただ、これは日本に限ったことではなく世界的ですもんね。乗るしかない、このビッグウェーブに。

 って、ことでさっそく、僕も見てきた。もうすんごい。焼き増し?いやいや、そんなものじゃない。初見者でも見られる作りにはなっているが、この作品を本当に楽しむためには、やはり旧作のエピソード4~6は見ておきたい。全作見ればなおいい。ほぼ主要な登場人物が出てきてファンなら涙がちょちょぎれる。

 というか、ほとんどハリソンフォードが主役じゃね?ってくらいのいきおい。歯切れよく物語が進むのはJJエイブラムスらしさ。大衆娯楽大作を撮らせたらこの人はうまいよなあ。期待値がそうとう上がっている大作の、同等かそれ以上のものを出してくるのがすごい。ラストも次回作に期待をつなぐ終わり方のため、さっそく続きが見たくてうずうずしている。

 いよいよ今年の正月映画大本命の登場。この映画のために4D型式の設備を導入した映画館も多い。ほかにライバルになりそうな新作は妖怪ウォッチかちびまるこちゃんかクリードか。どれも格下なのは否めない。個人的にはスターウォーズがこのままぶっちぎってほしい。

『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』
総評★★★★★

映画『海難1890』を見ての感想

 『利休にたずねよ』などの田中光敏監督の最新作、『海難1890』。日本とトルコの友好記念に作成された映画。公開前に安倍総理がトルコを訪れた際、ダイジェスト版を鑑賞したというステマ記事が話題になった。

 1890年、トルコの天皇謁見隊が日本を訪れた帰り道(当時はオスマン帝国)、タイフーンならぬ台風に遭遇し、遭難、沈没、たまたま居合わせた、現在の和歌山串本町の住民が救助に奔走する姿を描く。また、120年後のイランイラク戦争の際、日本の民間人が戦争に巻き込まれた際、トルコの政府は日本人救出に乗り出す。

 史実だけあって、大変に感動する。かつて日本でこんな事件があったんだと感心する。ただ、現代日本の建物のセットがキレイだという印象。昔の映画の『二十四の瞳』や『君の名は』なんかに出てくるボロ小屋を見ると、ドン引きするくらいにホントにボロ小屋。台風なんか来たら一発で吹き飛ばされそうなところで撮影している。まあ、多くの人はそんなことは気にせずに見ているだろう。それでいい。そんなところを見ているのは僕くらいだろう。

 けど、後半のフセイン大統領が攻めてきてイランイラク戦争の戦火から逃すために、当時の恩を感じたトルコ政府が日本政府の代わりにチャーター機を飛ばしたというのは、やはりこじつけだろう。それでも盛り上がったからいいんじゃないかしら。斜に構えた見方をすると大切なことを見失ってしまうわ。あたしはそう思うもの。

 この作品もハンカチ必須。まったく、心が弱っているとダメね。物事が単純に入ってきちゃう。歴史のおべんきょと、自分の心の内側を見るのには、まさにこれはうってつけの映画だわ。

『海難1890』
総評★★★★☆

映画『杉原千畝 スギハラチウネ』を見ての感想

 日本のオスカーシンドラーとこ杉原千畝。第二次世界大戦のさなか、リトアニア領事官として勤務し、多くのユダヤ系難民へビザを発行し、たくさんの人々の命を救った。そんな”正義の人”の数奇な半生を描く。杉原千畝役に唐沢寿明、その妻役に小雪がつとめ、監督はチェリングラック、ほかにもポーランドで有名俳優が起用される。

 物語は列車内からはじまる。かねてより、その後学力と知性をおそれるソ連側から、杉原千畝は疎ましく思われていた。杉原はソ連との北満鉄道譲渡交渉を成立。かねてより希望していたモスクワ大使館への赴任されるはずだったが、杉原をおそれたソ連側はペルソナノングラータを発動。代わりに杉原はリトアニアへ派遣されることとなるのだが・・・。

 いよいよ今年も正月映画の季節がやってきた。夏の盛況がふたたびやってくるか。そんな中、邦画で1番期待していた映画がさっそく封切られた。映画『杉原千畝 スギハラチウネ』。杉原千畝を題材とした小説はたくさんあるが、映像化されたものは少ない。大いに期待する。杉原千畝の唐沢寿明も好演だが、やはり妻役の小雪さんが良い。彼女の凛とした美しさが場面をひきたたせる。というか、僕は小雪さんが好きです。きゃーゆっちゃった/////////。

 ストーリーはあらかた読める。というか誰が脚本書いてもこうなるというお手本のようなもの。少しばかり映画向けにアクションなどを入れてたりもするが、本筋は見失ってはいない。やはり、特筆すべきは杉原の人道に対する真っすぐな正義だろう。日本政府が会議で決議を出すのを待っていては遅すぎる。そして、彼の正義を受け入れ、自らの正義で超法規的な行動をした人々・・・。正義をつらぬく人達というのは、やはりカッコいい。ぼくもこうありたい。ここのところなぜか精神的に追い込まれていたようでおもいっクソ泣いてしまった・・・。正義とはなんなのか?最近そんなことばかり考える。

 映画に限らず、物語というものはそれぞれが抱える精神状態によって見方が変わるものなのかもしれない。もしも僕がこの映画を普通の精神状態で見ていたら酷評していたかもしれない。けれど、今の僕には痛いほどメッセージが伝わってくる。そういうものだし、それでいいと思う。正義をつらぬいたことで閑職においやられたとしても、それでも歴史は彼を評価する。僕もそうありたい。まさに杉原千畝は正義の人。彼の功績は永遠に刻まれる。

『杉原千畝 スギハラチウネ』
総評★★★★★
プロフィール

ベッチー村上

Author:ベッチー村上

最新記事
最新コメント
カテゴリ
月別アーカイブ
カウンター
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

RSSリンクの表示
カレンダー
11 | 2015/12 | 01
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
リンク